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2002年9月10日
ロボット制御等に最適な小型標準ボード
「μT-Engine/M32104開発キット」を発売開始
〜 T-Engineプロジェクトのユビキタス向け成果が続々と商品化 〜
総合パッケージソフトウェアメーカーのパーソナルメディア株式会社(代表取締役:泉名達也、本社:東京、電話番号03-5702-7858、資本金1,000万円)は、ユビキタス時代の標準開発プラットフォーム「T-Engine(ティーエンジン)」プロジェクトの成果として、より小型化された「μT-Engine(マイクロ・ティーエンジン)」仕様のコンピュータシステムを世界で初めて一般向けに商品化し、「μT-Engine/M32104開発キット」の名称にて、9月11日より発売開始いたします。
T-Engineとは、TRONプロジェクトの最終目的であるユビキタス・コンピューティング環境(*1)を実現するために必要となるハードウェアプラットフォームと、その上で動くリアルタイムOS(*2)やその周辺のインタフェース仕様を標準化し、その上で動く制御用ソフトウェアの開発を効率化することを目的としたプロジェクトです。本プロジェクトを推進する団体として、日本の主要な半導体メーカー、ソフトウェアメーカー、組込み機器メーカー、家電メーカーなどが多数参加する「T-Engineフォーラム」が今年6月24日に設立され、T-Engineアーキテクチャの研究開発および標準化活動を行っています。T-Engineプロジェクトの詳細およびT-Engineフォーラムに関しては、http://www.t-engine.org/ をご覧ください。
T-Engineプロジェクトでは、ターゲットとなる組込み機器の規模や用途に合わせて、複数の標準ハードウェア仕様を定義しています(*3)。具体的には、液晶画面やタッチパネルを装備した携帯情報機器など、比較的高度なユーザーインタフェースを持つ機器を想定した「標準T-Engine」、および家電や計装機器など、比較的ユーザーインタフェースの少ない機器を想定した「μT-Engine(マイクロ・ティーエンジン)」があり、いずれも基本的なハードウェア構成のほか、基板サイズやコネクタの位置などがそれぞれ規格化されています。このうち、特に基板サイズに関しては、「標準T-Engine」のCPUボードが75mm×120mmであるのに対して、「μT-Engine」のCPUボードは60mm×85mmとさらに小型化されており、液晶画面などを必要としない一般的な組み込み機器に対するローコストでコンパクトな制御ボードとして活用しやすいように配慮されています。
今回発売する「μT-Engine/M32104開発キット」には、μT-Engineのボード(ハードウェア)本体のほか、標準リアルタイムOSであるT-Kernel、Linux上で動作するGNUベースのクロス開発環境、仕様書や回路図などのドキュメント類が含まれており、本キットと開発用のPC(Linux搭載機など)をご用意いただくだけで、μT-Engine 上のミドルウェアやアプリケーションの開発が可能です。また、本開発キットの特徴として、拡張LANボードと人工網膜カメラが含まれており、LAN関連のミドルウェアや画像関連の各種ソフトウェアの開発、実験などにもハードウェアの追加が不要です。特に、人工網膜カメラは、「目」を持ったロボットの実験を想定したものであり、コンパクトで高性能なCPUボードとともに、ロボットの制御用ソフトウェアの標準開発プラットフォームとして最適です。なお、「μT-Engine/M32104開発キット」の標準価格は150,000円(税別)です。
パーソナルメディアでは既に、日立製作所のCPUを搭載した「T-Engine/SH7727開発キット」(標準T-Engine仕様準拠)を8月8日より発売していますが、今回、これに続いて三菱電機のCPUであるM32104を搭載した「μT-Engine/M32104開発キット」(μT-Engine仕様準拠)を発売することにより、T-Engine関連製品の品揃えを増やして用途別のシリーズ化を行っていく予定です。また、各種T-Engine開発キットの発売に加えて、T-Engine向けの標準リアルタイムOSであるT-Kernelの開発や移植、多漢字ソリューションである「超漢字」をベースにしたT-Engine向けのミドルウェアの開発、出版事業によるT-Engine関連書の充実など、多くの分野においてT-Engineプロジェクトに積極的に参加し、T-Engineプロジェクトの総合開発・販売メーカーを目指していく予定です。
- ◇写真
- − 「μT-Engine/M32104開発キット」の写真 [21Kバイト]
表1. 「μT-Engine/M32104開発キット」のハードウェア仕様
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CPUボード: |
CPU |
三菱電機 M32104 (M32R, 内部クロック216MHz) |
フラッシュメモリ |
4Mバイト |
SDRAM |
16Mバイト |
入出力I/F |
Compact Flash(CF)カード、シリアル、eTRONチップ(*4)、
MMCカード、LED(2個)、拡張バスI/F |
その他の機能 |
RTC |
電源 |
ACアダプタ |
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拡張LANボード: |
LAN |
SMSC社製LANコントローラ (LAN91C111)
100BASE-TX/10BASE-T |
コネクタ |
SDIコネクタ (SDIデバッガを接続)
LAN用RJ-45コネクタ
ARボード用コネクタ
パラレルインタフェース (8ビットのポート入出力) |
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ARボード(*5)/人工網膜カメラ: |
解像度 |
160×144×3(RGB) |
その他 |
レンズ一体型パッケージ
CDS、AGC、ガンマ補正、色調補正回路内蔵
ゲインレベル、黒レベル調整機能内蔵 |
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外形寸法: |
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CPUボード |
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60mm×85mm(突起物を除く) |
拡張LANボード |
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60mm×85mm(同上) |
ARボード |
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40mm×35mm(同上) |
電源ボード |
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45mm×35mm(同上) |
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表2. 「μT-Engine/M32104開発キット」に添付されるソフトウェア
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- 【μT-Engineのターゲット用】
- T-Monitor
- T-Kernel
- T-Kernel/OS (Operating System), T-Kernel/SM (System Manager), T-Kernel/DS (Debugger Support)
- PCカードマネージャ(バスドライバ,CFスロット用)
- デバイスドライバ: ソースプログラム付
- 時計(RTC)、コンソール(シリアル)、システムディスク(CFカード)
- サンプルアプリケーション: ソースプログラム付
- 【開発マシン用】
- GNU開発環境: ソースプログラム付
- PC-Linux上で動作するGNUベースの開発環境
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表3. 「μT-Engine/M32104開発キット」の代表的な用途
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(1) |
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T-EngineやμT-Engine上で流通するミドルウェアやアプリケーションの開発およびデバッグを行うための、実行用ターゲットボードとして利用 |
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(2) |
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携帯電話やAV機器など、各種の組込み機器の制御用ソフトウェアを開発するための、開発評価用ボードとして利用 |
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(3) |
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開発キットに含まれるコンパクトなCPUボードを、制御用のボードコンピュータとして、そのまま最終製品に組み込んで利用 |
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(4) |
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コンパクトな実験・教育用のボードコンピュータとして利用 |
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- ※1 ユビキタス・コンピューティング(Ubiquitous Computing)
- "Ubiquitous" とは、「遍在する」「どこでも」といった意味であり、"Ubiquitous Computer" の和訳は「どこでもコンピュータ」となります。マイクロコンピュータが安価になり、通信機能なども含めた高性能化が進むと、身の回りのあらゆる物にコンピュータが入り、それらがネットワークで接続され、互いに協調動作して私たちに利便性や安全性、快適性を与えるようなシステムが実現されます。これが「ユビキタス・コンピューティング環境」です。TRONプロジェクトでは、1980年代前半より、これと同じ概念をHFDS(超機能分散システム)と呼んで世界に先駆けた研究を行ってきました。その後、米国の研究機関や大学からも注目されるようになり、「ユビキタス・コンピューティング」などの名前が定着してきました。
- ※2 OS(Operating System)、リアルタイムOS
- OSとはオペレーティングシステムの略で、「基本ソフト」とも呼ばれます。その上でいろいろなアプリケーションを動かすための土台となるソフトウェアです。特に、機器の制御を高速で行うことを目的に、即時性(リアルタイム性)を備えたOSをリアルタイムOSと呼びます。TRONプロジェクトでは、携帯電話やAV機器のような組込み機器(制御用のマイクロコンピュータを組み込んだ電子機器)を制御するためのOSとして、ITRON(Industrial
TRON)というリアルタイムOSの仕様を標準化してきました。この分野におけるITRONのシェアは極めて高く、日本のIT産業の陰の主役となっています。
- ※3 T-Engineのシリーズ化
- T-Engineプロジェクトでは、「標準T-Engine」および「μT-Engine」のほかにも、コイン大のモジュールでインテリジェントな組み込み制御を行うことを想定した「nT-Engine(ナノ・ティーエンジン)」、および米粒程度の大きさで情報ネットワークの最小単位となることを想定した「pT-Engine(ピコ・ティーエンジン)」の2種類の仕様を研究中であり、今後その成果を発表していく予定です。
- ※4 eTRON
- eTRON とは "entity and economy TRON" の略称です。entity とは、証明書、伝票、印鑑、キー、マネー、チケットなど、原本の同一性を保証すべき実体を指しますが、これを電子データとして管理したり、非セキュアなネットワークを通じて安全に移動(譲渡)できるメカニズムを実現するのがeTRONです。eTRONの応用例としては、セキュリティ文書の保存や転送、電子チケットや電子マネー、個人認証用のIDカードなどが考えられます。また、eTRONを用いると、セキュリティの弱い公衆回線インターネット上に、強固なセキュリティを持つ仮想的専用回線(VPN: Virtual Private Network)を実現することができ、インターネットの応用範囲がはるかに広がります。
- ※5 AR とは Artificial Retina の略であり、「人工網膜」の意味です。
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- ◇補足資料
- −TRONプロジェクトとT-Engine
- −パーソナルメディアとT-EngineおよびTRONプロジェクト
- ◇製品カタログ
- −μT-Engine/M32104開発キット カタログ
[PDFファイル 4ページ 270Kバイト]
- ◇ご注文
- −パーソナルメディアからの通信販売
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■ | TRONは“The Real-time Operating system Nucleus”の略称です。 |
■ | BTRONは“Business TRON”の略称です。 |
■ | TRON, BTRON, eTRON, T-Engine, T-Monitor, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。 |
■ | 超漢字はパーソナルメディア株式会社の商標です。 |
■ | その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。 |
■ | 本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。 |
以上
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