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T-Engine用標準OSの利用を促進するT-Kernel総合サポートセンターを開設
〜 TRONで20年の実績を持つパーソナルメディアがT-Engine事業を大幅拡充 〜
パーソナルメディア株式会社(代表取締役:泉名達也、本社:東京都品川区、電話番号03-5702-7858、資本金1,000万円)は、2月2日よりT-Engine関連事業を大幅に拡充し、その一環としてT-Kernel総合サポートセンターを開設します。T-Kernel総合サポートセンターでは、T-EngineやT-Kernelのユーザ様となるシステム機器メーカー、家電メーカー、ソフトウェアメーカー、CPUメーカーなどお客様のご要望や環境に合わせたT-Kernelのポーティング、カスタマイズ、コンサルティングを行い、T-Engineの応用ビジネスを促進します。
「T-Engine」はあらゆるモノにコンピュータが入り、それらがネットワークで接続され、互いに協調動作して私たちに利便性や安全性、快適性を与える「ユビキタス・コンピューティング環境」を実現するために、さまざまな組込み機器の開発を効率化・標準化するためのプロジェクトです。2002年6月に22社で始まり、2004年1月現在では300社以上の企業や団体が参加する「T-Engineフォーラム(会長坂村健・東京大学教授/YRPユビキタス・ネットワーキング研究所所長)」が中心となって活動しています。
T-Engineの標準リアルタイムOSである「T-Kernel(ティー・カーネル)」は、ユビキタス機器のソフトウェア開発のための共通インフラとして、T-Engineフォーラムから1月末に無償でソースプログラムが公開され、一定の許諾条件の下で、誰でも自由に利用できるようになります。しかしながら、T-Kernelの一部の機能はCPUや実行ハードウェアに依存しておりますので、一般には、T-Engineベースで開発される最終製品(携帯電話やデジタル家電など)の実行環境に合わせた移植作業が必要です。また、パソコンのBIOSに相当するT-Monitorやデバイスドライバに関しても、ハードウェアへの依存性がありますので、開発あるいは移植の作業が必要です。パーソナルメディアでは、既に表1のCPUにT-Kernelを移植した実績を持ちますが、この度開設するT-Kernel総合サポートセンターにおいて、T-Kernelおよびデバイスドライバ、T-Monitor等の移植やカスタマイズ、コンサルティングに関わる各種業務の受託体制を整え、T-EngineやT-Kernelを利用した開発プロジェクトを強力にサポートいたします。
また、T-Engineの総合ソリューションメーカーを目指すパーソナルメディアでは、従来からの継続事業であるGUIミドルウェア「PMC T-Shell」の開発とライセンシング、T-Engine開発キット販売、パートナー事業、セミナー事業、出版事業に加えて、T-Engineの総合的なコンサルティング事業を開始します。具体的には、T-Engineベースの開発案件を持つお客様と、表2のようなサポート契約を締結して、お客様が進めるT-Engine関連プロジェクトを積極的にお手伝いします。
パーソナルメディアでは、T-Kernel総合サポートセンターの開設とT-Engineの総合コンサルティング事業の開始により、今後も積極的にT-Engineプロジェクトを推進し、ユビキタス機器の開発効率向上に貢献したいと考えております。
表1. パーソナルメディアがT-Kernelの移植実績を持つCPU
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CPUメーカー アーキテクチャ CPU名称
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RENESAS SH3-DSP SH7727
RENESAS SH-4 SH7751R, SH7760
RENESAS M32R M32104
NEC MIPS VR5500, VR5701, VR4131
MOTOROLA ARM920 MC9328MX1 (DragonBall)
EPSON ARM720 S1C38000
SHARP ARM922T LH7A400
SHARP ARM720T LH79520
FUJITSU ARM926EJ MB87Q1100
TOSHIBA MIPS TX4956
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表2. T-Engineのサポート契約(有償) |
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・汎用サポート契約
- T-Engine関連のソフトウェアの使い方(機能やAPIなど)をサポート
- 電子メールによる Q and A
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・カスタムサポート契約
- ソフトウェアの内部構造やソースプログラムの中身に関するサポート
- チューニング、カスタマイズ、移植のためのアドバイス
- お客様の環境やプログラミングに依存した個別のサポート、デバッグ
- ビギナー向けのサポート
- 他の環境からT-Engineへの移行ノウハウのサポート
- 販売やビジネス面も含めたコンサルティング
※ 汎用サポート契約の内容を含みます。
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◆補足説明: T-Kernelの移植
T-Kernelのソースプログラムの大部分(90%以上)はC言語で書かれており、その部分はCPUには依存しませんが、OSのタスクディスパッチ機能(*1)、割込み管理機能(*2)など、一部の機能はCPUに依存しています。そのため、表1に記載されていないCPU上でT-KernelやT-Engine用のミドルウェアを動かす場合には、一般に、T-Kernelの移植作業が必要となります。また、T-Engineベースのシステムを動かすためには、パソコンのBIOSに相当するT-Monitorやデバイスドライバのプログラムも必要になりますが、これらのプログラムもCPUやハードウェアに依存しますので、最終製品の実行環境に合わせた開発あるいは移植の作業が必要です。
- (*1)タスクディスパッチ機能
- ユビキタス機器向けのリアルタイム・マルチタスクOSでは、複数の周辺機器やセンサーを同時に並行して監視し、その状態変化に応じた処理プログラム(タスク)を即座に(リアルタイムに)実行する機能が必須です。タスクディスパッチ機能とは、上記のような状況において、次に実行すべきタスク(優先度の高いタスク)への切り替え処理を行う機能です。一般に、タスクディスパッチ機能を実現するプログラムはC言語で記述することができず、アセンブラなどCPUに依存した言語を用いて開発する必要があります。
- (*2)割込み管理機能
- センサーからの状態変化や入力の発生、入出力の完了など、コンピュータの外部の要因(割り込み要因)によって、それまで実行していたプログラムを強制的に中断し、別のプログラム(割り込み処理プログラム)の実行に移るのが、「割込み」の機能です。
割込み要因の具体例としては、マウスの移動やクリック、キーボード入力、CD-ROMメディアやPCMCIAカードなどの挿入、電話の着信、メモリ〜ディスク間の転送完了など、システムの用途や実行するプログラムにより、いろいろなものがあります。
一般には、割込みの発生により、その割込み要因に対する対応処理を行うようなプログラム(割込み処理プログラムや割込み処理タスクと呼ばれます)の実行に移ります。たとえば、CD-ROMの挿入といった割込み要因に対しては、CD-ROMの中身をファイルとして読めるようにOS内部の設定処理を行ったり、画面上にCD-ROMのアイコンを表示するような処理を行います。
割込みの発生に対して、その処理を迅速に行えることは、リアルタイムOSの必須条件です。
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■ | TRON は "The Real-time Operating system Nucleus" の略称です。 |
■ | TRON, BTRON, ITRON, eTRON, T-Engine,μT-Engine, T-Monitor, T-Kernel はコンピュータの仕様に対する名称であり、特定の商品を指すものではありません。 |
■ | その他の商品名などは各社の商標または登録商標です。 |
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本資料に記載された製品の仕様、外観イメージ、価格などは、発表日現在のものです。最終的に販売される製品では、変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。ご購入の際は、最新情報をご確認ください。 |
以上
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