μT-Engine/M32104開発キット プレスリリース:補足資料


◇TRONプロジェクトとT-Engine
  これからの社会は、好むと好まざるとにかかわらず、多くのコンピュータに囲まれ、それらのコンピュータと付き合いながら生活していく必要があります。ビデオカメラを使う時にも、電車の切符を買う時にも、銀行でお金を引き出す時にも、無意識にコンピュータを操作しているわけです。こういった電脳社会を快適に過ごすには、コンピュータ側でも配慮しておくべき点がたくさんあります。そのような問題を研究した上で、将来広く使われるべきコンピュータの土台を設計し直そうというのがTRONプロジェクトです。

特に、TRONプロジェクトの成果の1つであるITRONは、日本国内の大手半導体メーカーが機器制御用のデファクト・スタンダードとして採用しており、昨今普及のめざましい携帯電話をはじめ、家電製品、携帯情報ツール(PDA)、デジタルカメラなどの電子機器、カーナビなどの車載機器、電話交換機などに圧倒的なシェアを誇っています。また、日本国内に限らず、海外のメーカーがITRONを開発した例もあります。一方、TRONプロジェクトのうち、パソコンやPDAで動くオペレーティングシステム(OS)、およびその上に実現されるユーザインタフェース、データ形式の標準化などを対象としているのがBTRONサブプロジェクトです。具体的には、汎用コンピュータのためのOSの仕様設計、多漢字や多言語に対応した文字コードの規格化、ハイパーメディアまで含めたデータ交換用フォーマットの標準化、キーボードや電子ペンなどの入力機器の仕様設計、障害者向けのコンピュータの操作仕様など、広範囲な内容を含んでいます。BTRONの大きな成果が、PC上のOSとして多漢字環境を実現する「超漢字」シリーズです。

ところで、高機能化した昨今の携帯電話を見てもわかるように、従来ITRONの対象であった組込み機器と、従来BTRONの対象であったパソコンやPDAとの境界は、瞹昧になりつつあり、両者の特性を兼ね備えた電子機器も増えています。そのため、今後のTRONプロジェクトでは、ITRONやBTRONといった明確な区別は行わず、カーネル(OS)+ミドルウェアという枠組みで幅広いアプリケーションに対応していく方針となりました。そのための標準的なプラットフォームとなるのがT-Engineであり、共通のOSとして用いられるのがT-Kernelです。

詳細については、TRONプロジェクトのホームページ http://www.tron.org/ をご覧ください。パーソナルメディアのホームページからもリンクされています。
 
 
◇パーソナルメディアとT-EngineおよびTRONプロジェクト
  パーソナルメディアでは、1991年8月にノート型BTRONパソコン「1B/note(いちびーのーと)」を発売して以来、BTRON関連ソフトウェアや関連製品の開発、販売を続けております。これまでに、パソコン用のBTRONとして16ビット版の「1B」シリーズ、32ビット版の「B-right/V」、32ビット多漢字版の「超漢字」シリーズなどを販売しているほか、2001年3月には、BTRONの応用製品の1つとして、HDDのデータ抹消ツール「ディスクシュレッダー」を発売しました。「超漢字」シリーズは、1999年11月の発売以来、何度か大きなバージョンアップを行っており、2001年末には最新版の「超漢字4」が発表されました。また、超漢字用のアプリケーションやデータウェアとして、「超漢字ウェブサーバ」、「超漢字ウェブコンバータ」、「超漢字トンパ書体」、「超漢字広辞苑」、「超漢字康煕字典」などの製品も発売されています。

また、パーソナルメディアでは、T-Engineプロジェクトの趣旨に賛同し、多漢字BTRON仕様OS「超漢字」の開発などを通じて培ってきたトロンの技術を活かして、T-Engine上で動く標準リアルタイムOS(T-Kernel)の開発を行いました。さらに、このような経緯から、T-Engineのハードウェア本体を含めたシステム商品についても、「T-Engine開発キット」の名称でシリーズ化し、今後、各社のCPUを搭載した「T-Engine開発キット」をパーソナルメディアから発売していくことになりました。その第1弾として、今年8月には、T-Engineプロジェクトの成果を利用した初めての一般向け商品である「T-Engine/SH7727開発キット」を発売しました。今回発売する「μT-Engine/M32104開発キット」は、これに続く商品です。

パーソナルメディアでは、このほか、出版活動を通じたTRONプロジェクトへの参加も積極的に行っています。トロン関連技術情報誌「TRONWARE」を隔月刊で発行しているのをはじめ、「μITRON 4.0標準ガイドブック」、「トロンヒューマンインタフェース標準ハンドブック」、「はじめてみよう超漢字」シリーズ、「すべての執筆活動をパソコンで」など、ITRONやBTRON関連の仕様書や参考書も多数発行しています。今後は、T-Engine関連の仕様書や参考書も積極的に発行していく予定です。



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