「PMC T-Shell開発キット」 プレスリリース:補足資料


◇T-Engineとは
  ユビキタス・コンピューティング環境(*5)を実現するには、ソフトウェア開発の効率化が重要な条件になります。T-Engineプロジェクトでは、リアルタイムOS(*6)のサ ービスコールの仕様(API)だけではなく、開発評価用ボード(T-Engineボード)のハードウェア仕様やソフトウェアI/F、オブジェクトフォーマットなども合わせて強力な標準化を行うことにより、ソフトウェア資産の共通化と有効活用を図ることを目的にしています。これにより、ユビキタス・コンピューティング環境のノード(インテリジェント・オブジェクト)を構成する各種の組込み機器の開発が効率化されるだけではなく、ミドルウェアやアプリケーションの流通が促進され、組込み機器向けのハードウェアやソフトウェアに関して新しいビジネスチャンスも創出されます。

T-Engineプロジェクトを推進する団体として、日本の主要な半導体メーカー、ソフトウェアメーカー、組込み機器メーカー、家電メーカーなどが多数参加する「T-Engineフォーラム」が昨年6月に設立され、既に100社以上の参加メンバーを集めています。T-Engineプロジェクトの詳細およびT-Engineフォーラムに関しては、http://www.t-engine.org/ をご覧ください。

◇パーソナルメディアとT-Engineプロジェクト
 

パーソナルメディアでは、T-Engineプロジェクトの趣旨に賛同し、PC用の多漢字BTRON仕様OS「超漢字」の開発などを通じて培ってきたトロンの技術を活かして、T-Engine上で動く標準リアルタイムOS「T-Kernel」の開発を行いました。また、T-Engineで動くミドルウェアやアプリケーションを開発するための開発評価用ボードとして、各社のCPUを搭載した「T-Engine開発キット」をシリーズ化して発売しており、これまでに「T-Engine/SH7727開発キット」「μT-Engine/M32104開発キット」「T-Engine/VR5500開発キット」「T-Engine/ARM720-S1C開発キット」「μT-Engine/VR4131開発キット」の5種類の開発キットをリリースしています。「T-Engine開発キット」には、T-Engineの開発評価用ボードのほか、標準リアルタイムOSであるT-Kernel、Linux上で動作するGNUベースのクロス開発環境、仕様書や回路図などのドキュメント類が含まれており、本キットと開発用のPC(Linux搭載機など)をご用意いただくだけで、T-Engine上のミドルウェアやアプリケーションの開発が可能です。

このほかパーソナルメディアでは、T-Kernelや関連ミドルウェア、デバイスドライバなどの移植とサポート、T-Engineを用いたシステムソリューションのご提供、T-Engine関連セミナーの開催、トロンおよびT-Engine関連の技術情報誌「TRONWARE」の隔月刊での発行など、T-Engineを今後のビジネスの柱と位置付け、多方面からT-Engineプロジェクトを支援しております。

(*5) ユビキタス・コンピューティング(Ubiquitous Computing)
"Ubiquitous" とは、「遍在する」「どこでも」といった意味であり、"Ubiquitous Computer" の和訳は「どこでもコンピュータ」となります。マイクロコンピュータが安価になり、通信機能なども含めた高性能化が進むと、身の回りのあらゆる物にコンピュータが入り、それらがネットワークで接続され、互いに協調動作して私たちに利便性や安全性、快適性を与えるようなシステムが実現されます。これが「ユビキタス・コンピューティング環境」です。TRONプロジェクトでは、1980年代前半より、これと同じ概念をHFDS (超機能分散システム)と呼んで世界に先駆けた研究を行ってきました。その後、米国の研究機関や大学からも注目されるようになり、「ユビキタス・コンピューティング」などの名前が定着してきました。
(*6)OS(Operating System)、リアルタイムOS
OSとはオペレーティングシステムの略で、「基本ソフト」とも呼ばれます。その上でいろいろなアプリケーションを動かすための土台となるソフトウェアです。特に、機器の制御を高速で行うことを目的に、即時性(リアルタイム性)を備えたOSをリアルタイムOSと呼びます。TRONプロジェクトでは、携帯電話やAV機器のような組込み機器(制御用のマイクロコンピュータを組み込んだ電子機器)を制御するためのOSとして、ITRON(Industrial TRON)というリアルタイムOSの仕様を標準化してきました。この分野におけるITRONのシェアは極めて高く、日本のIT産業の影の主役となっています。このITRONを発展させる形で標準化の範囲を広げ、ミドルウェアやデバイスドライバの流通性を高め、さらに効率のよいソフトウェア開発を目指しているのがT-Engineプロジェクトです。
以上


戻る
  Copyright 2003 Personal Media Corporation