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プロジェクトリーダーから(TRONWARE VOL.48)

 今年もTRONSHOWの季節がやってきた。毎年年末になるとトロンプロジェクト国際シンポジウムやTRONSHOW、そしてTRONイネーブルウェアシンポジウムとその年の総括的な行事がやってくる。ところで今年は少し変則的である。これは私が東京大学創立120周年記念東京大学展第四部「知の開放」でゼネラルプロデューサを務めている都合による。この号が出るころには最後のフェーズに入っているはずだが、情報の収集と発信と流通を一手に引き受ける「知の開放パビリオン」を建設し、日夜さまざまの情報発信を続けている。このためにトロンプロジェクト国際シンポジウムの質が低下しては困るので、国際シンポジウムのコンファレンスは1998年の春に延期させてもらった。ただTRONSHOW'97とそれに付属するシンポジウムならびにTRONイネーブルウェアシンポジウムTEPS'97は例年と同じように12月に開催できることになった。

 TRONプロジェクトも10年以上やってきて着々と進む手ごたえを感じる。TRONWAREがずっと出版し続けられているのが何よりの証拠である。前号で特集したITRONだけに限らず、BTRONの必要性の認識は日々高まり、要求する人が多いという感触、手ごたえは日々強まっている。今 年のTRONSHOWではなぜこのテクノロジーが要求されるのかきちんと説明を聞きたいという声にこたえて「なぜ多国語コンピュータか」「なぜ今の漢字コードはまずいのか」などをきちんと見せてディスカッションする場にしたいと思う。また以前BTRONを人とコミュニケーションするための機械と説明したが、会話する行為は知の流通と密接な関係がある。知の流通や配布のためにはどのようなテクノロジーがあるのかということをじっくりと解明してみたい。そこでTRON的な考え方やTRONの技術がこのような応用に役に立つことをぜひ見てもらいたい。また今年のTRONイネーブルウェアシンポジウムTEPS'97では特に視覚障害者のために音だけで楽しめる遊びやゲームに焦点を当てた展示およびシンポジウムにする。

 また1997年の最終月ということで本号ではTRON Project 1997 Year Bookとしてそれぞれのサブプロジェクトについて中心的に活躍している人に執筆してもらった。 さらに9月に開催されたTRONイネーブルウェア研究会とインタフェースデザイン研究会の合同ワークショップの様子についてもお伝えしたい。

 からりと晴れて秋の気持ちよい1日となった10月15日、知の開放ドームの開設を祝って、最近TRONに対して積極的にコントリビューションしてくれている米サン・マイクロシステムズ会長のスコット・マクニーリさんが私のところに来てお祝いの言葉ならびに記念講演を行ってくれた。その様子もお伝えしたい。TRONに対して力強いコメントをしてくれた。このようなTRONプロジェクトの最近の動きならびに今年のまとめ、ゆっくりではあるが世界に広がろうとする様子を見ていただけたらと思う。

坂村 健