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プロジェクトリーダーから(TRONWARE VOL.65)

韓国、そしてアジアのTRONプロジェクト

 ここ数年、韓国には年に1回は行くようにしているが、ここ1、2年の変わりようはすさまじい。1997年の経済危機でIMF(国際通貨基金)管理体制下に入ってから、韓国経済は大きな打撃を受けたと言われている。しかし、街の様子を見るかぎり、不況の影はまったくなくなった。街がどんどん変わっている。そもそものこの変化の発端は1988年のオリンピックのとき。東京も東京オリンピック以降、大きく変わっていったのと同じであろうか。

 今回韓国トロン協会設立記念として韓国での初のTRONに関する大型シンポジウムを国際コンベンションセンターCOEX(Convention and Exhibition)で行った。ソウルを大きく分けると、漢江より北の古い旧市街と新しく開発されている南地域とがある。COEXは南地域にあり、テヘラン通りという新興のITビジネスが集約している通りに面して作られた大規模なショッピングモールとホテルとオフィスビルとコンベンションセンター、そしてその中には大型の水族館やシネマコンプレックスやデパートがあるような新都心である。日本でいうとお台場の臨海副都心に相当するが、すべてが新しく、デザインを見てもここはソウルか東京かの区別がつかない。良いか悪いかは別として、10年前くらいのソウルらしさはもうない。表面的に見ると世界共通先進都市というようなものになっている。街の様子については特集でおいおい触れることにするが、いわゆる韓国独特色が抜けてしまっている。集客面ではお台場のショッピングモールに比べると雲泥の差で優れている。お台場は閑散としているときもあるが、COEXはいたるところに人がいて活気がある。お台場は広すぎて各施設ごとの点での開発になってしまっているのに対し、COEXのほうが端から端まで歩く気になる程度の地下街の水平方向展開と、施設の垂直方向での拡張の組み合わせがよく、面の開発に成功している。

 そのCOEXの中のCOEX Inter-ContinentalというホテルでTRONに関する大型シンポジウムを開催した。聴衆は350人、立ち見が出るくらいの大盛況であり、関係会社により展示会も合わせて行うことができた。TRONに関する関心はたいへん高く、多くの新聞やテレビのニュースで報道され、また私の『痛快!コンピュータ学』も完全に韓国語に翻訳され出版されるというオマケまでついた。とにかく非常に熱心。今、韓国では、IT関連のものは技術、会社と何でも関心が高い。インターネットの普及に伴い、一般の人々にとって使いやすいマシンとは何かに興味が移っており、非PCアプローチの代表的プロジェクトであるTRONに関心が集まるのも当然であろうか。TRONプロジェクトは、アジアの中のプロジェクトであることを改めて認識するのに十分であった。まさに韓国は今燃えている。燃える韓国でシンポジウムが大成功に終わったということは、プロジェクトが 21世紀を迎えるにあたり、20世紀最後を締めくくるイベントとして、大きな成果であったと言えよう。

坂村 健