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プロジェクトリーダーから(TRONWARE VOL.81)

世界に向けて成長するT-Engine

 T-Engineとはオープンなリアルタイム組込み用システムを作るための、ハードウェアからOSそしてシステムソフトウェアまでを含むオープンなプラットフォームである。

 私たちのTRONプロジェクトで生み出したITRONは、組込みの世界では全世界の16ビット以上の組込みシステムの6割方を占めるプラットフォームとなっているが、システムアーキテクチャの規定がなかったためチップを越えた標準化はなされていなかった。

 一方T-Engineでは、ハードウェアからシステムアーキテクチャまでを規定したことで、ミドルウェア構築プロファイルを満たすようにミドルウェアを作れば、再コンパイルによりミドルウェア流通を行うことができるようになっている。

 このようなオープンな組込み用のリアルタイムプラットフォームは今までなかったため、おかげさまで全世界で支持を受けている。昨年6月にこのアーキテクチャを維持普及させるための組織であるT-Engineフォーラムを設立したときは22社の参加だったが、1年もたたないうちに150社を超えるまでに成長してきた。チップを超越するというその特徴から、現在はARM、SH、MIPS、M32R、FR-Vと全世界で使われている組込み用32ビットプロセッサの8割以上をカバーするようになり、次世代のオープンプラットフォームになりつつある。そしてこのほど世界的な携帯電話事業者や携帯電話メーカーであるVodafone、EricssonもT-Engineフォーラムへの参加を決めた。

 このプラットフォームの優秀さに着目して、組込みLinuxの最大手メーカーである MontaVista SoftwareがT-EngineのOSであるT-Kernel上で走り、規定を遵守したLinuxとして、T-Linux仕様をT-Engineフォーラムと共同で作ることになった。その実装も速いテンポで進めている。

 フランスの組込み用ソフトウェアメーカーNexWave Solutionsは、T-IntegratorというPhilipsの情報家電に使われているミドルウェアを流通させるためのプロファイルをT-Kernel上に作ることをすでに発表し、この6月には製品出荷するところまで来ている。

 このように全世界の強力なミドルウェア群がT-Engineに実装されることにより(私たちから見れば、T-Linuxもミドルウェアである)、さらにT-Bus構想も現実味を帯びるようになってきた。 T-Busはプロセス間通信機構であり、ストラクチャの異なるミドルウェアもプロセス間通信によりデータ交換ができるようになっている。今年の12月をめどに仕様が確定し、多くのミドルウェアが対応するようになる。

 また、KDDIが中心として進めているSVG 3次元ベクターグラフィックスパッケージもT-Engineのミドルウェアに加わり、さらに携帯電話向けT-EngineプラットフォームT-Wirelessを、今年12月をメドとして開発するワーキンググループも、NTTドコモを幹事会社としてスタートした。

 このようにT-Engineフォーラムは飛躍的な成長を遂げており、今年度中には参加企業は300社を超えるかもしれない。つい最近訪れた韓国においても、本号のグラビアで紹介されているようにU-korea Forumが催され、T-EngineとTRONプロジェクトが有力な次世代のユビキタス・コンピューティング向けプラットフォームと紹介され、韓国最大のサムソン電子もT-Engineフォーラムに幹事会社として加わった。

 このように日々世界に向けて成長するT-Engineに期待していただきたい。

坂村 健