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プロジェクトリーダーから(TRONWARE VOL.89)

順調に進むアジア地区への展開

 T-Engineフォーラムの海外での活動が活発になってきた。民生機器では、組込み分野の開発拠点は世界的に見てもアジアに集中している。そのためまずアジア地区を最重要視する戦略をとっている。

 昨年の10月にシンガポールに初の開発拠点TEADEC(T-Engine Application Development Centre)を、Economic Development Board(EDB:シンガポール政府経済開発局)、Nayang Technology University(NTU)、Renesus Solutions Asiaなどの協力を得て開設したが、その活動も本格化している。NTUはテクノロジートランスファーのために人材を日本に集中派遣し、現地で独自にT-Engine関係の講習会を行うことができるようになった。また、東アジア最大のIT関係の展示会CommunicAsia2004に現地で独自に出展することもできるようになった。

 CommunicAsia2004でのTEADECの活躍により、近隣のマレーシア、タイ、ベトナムなどでT-Engineへの関心が急速に高まっている。現地テレビ局で番組が放映され、近隣諸国での新聞、雑誌報道が増え、来年にかけシンガポール周辺地域でのTRONの開発センターが続々と開設される見通しが立ってきた。

 また、中国では中国科学技術院や北京大学での共同研究室での特別コースの開設をはじめとして、今年は成果が多いが、さらに7月には中国東北部の大連市の大連ソフトウェアパークを訪れ、T-Engine関係の開発が始まることになった。大連ソフトウェアパークは、広大な敷地に中国有数のソフトウェア企業が集中しており、日本の有力企業も進出している。大連市自身も日本との友好関係を深めるために、小学校、中学校から大学に至るまで日本語教育にたいへん力を入れている。私が見てきた範囲でも、大連は将来の日本にとっても良質なソフトウェアを供給してくれる基地として重要な位置を占めるような気がする。

 また韓国は、韓国RFID協会との間ですでにユビキタスIDセンターの共同開設など、今年に入り活動が活発化していたが、さらにKSP(Korea System Programmer)を中心としてT-Engine関係の教育がスタートしている。7月に行われたセミナーでは、私の特別講演に続いて、韓国人教師によるT-Engineの解説ならびに具体的開発手法の講演が行われた。1000人以上の聴衆を集めており、非常に盛況で、すでに実質的に多くの開発が行われている。今年の初めには、T-Engineフォーラム会員の韓国企業はサムスン綜合技術院のみであったが、その後、SK TelecomやLG TeleComなど大手企業が続々と加入している。韓国でも知名度の高まりとともに実質的な開発プロジェクトが始まっている。

 このようにTRONについての関心は、アジア地区では非常に高く、好調な滑り出しとなった。来年に向けて、活動がさらに活発化していく。

坂村 健