海外での書評
作品への評価
本書が扱うのは、気候変動によってもたらされる地球規模の新しい地政学だ。国家の再編はイデオロギーではなく“海抜何メートルに位置するか”で決まる世界だ
――フランシス・フクヤマ(『歴史の終わり』著者)
スティーヴンスンはスペキュレイティブ・フィクション(思弁小説)界で最も綿密な建築家の一人だ。『ターミネーション・ショック』は稀有な偉業を成し遂げている。途方もなく想像力豊かでありながら、同時に現実に根差しているのだ
――ニューヨーク・タイムズ紙
綿密に描かれたアクションシーン、驚くべき展開、親しみやすくも風変わりな登場人物、そして魅力的な対話により、スティーヴンスンの作品はページをめくる手が止まらない。彼の最新作も例外ではない。『ターミネーション・ショック』は、我々の時代で最も切迫した実存的問題を見事かつ革新的に扱いながら、綿密に設計された喜びのギガトン級の爆発を成層圏レベルで届けている
――ワシントン・ポスト紙
素晴らしく人間的で、独創的で、時として予言的。スティーヴンスンは21世紀の科学系ライターたちにとっての象徴的な存在となった
――デイリー・テレグラフ紙
没頭してしまうスペキュレイティブ・ フィクション
――ガーディアン紙
スティーヴンスンが持つビジョン、影響力、そして熱狂的なファンダムの特別な組み合わせを持つSF作家は間違いなく他にいない。彼はシリコンバレーとその隣接文化の創世神話の第一の記録者である。その高い自己評価、破壊的イノベーション、オタクたちが築いた世界の記録者なのだ
――ワイアード(ウェブメディア)
魅力的で思考を促す読み物
――バズフィード(ウェブメディア)
SF界の巨人としてのスティーヴンスンの評判は当然のものだ
――—サンデー・タイムズ紙
すばらしく面白い。SFの最先端だ
――SFX誌
この本は、災害に直面した政治的な足踏みに対してリアルでありながら、人々が実際に結束して文明を救おうとする可能性のある未来を恐れずに想像する、稀有な気候スリラーだ。我々すべてが必要とする気候変動フィクションの類だ
――カーカス・レビュー誌(高評価レビュー)
この小説は典型的なスティーヴンスン作品だ。猛烈に知的で、奇妙で、暗いユーモアに満ち、大胆に思弁的。スティーヴンスンは現代で最も尊敬されるSF作家の一人となった
――パブリッシャーズ・ウィークリー誌
ニール・スティーヴンスンはSF小説というジャンルの中で大きなアイデアに取り組むことを恐れたことがない。そして『ターミネーション・ショック』は彼の最も先見的で、タイムリーな作品かもしれない
――シカゴ・レビュー・オブ・ブックス誌
温暖化する世界における地政学について、真に興味深い問題を提起している
――アメリカン・パーパス(『歴史の終わり』の著者、フランシス・フクヤマが主宰するウェブメディア)
想像力豊かで、極めて現実的
――ブックバブ(ウェブメディア)
著者への評価
スティーヴンスンは言葉で遊んでいるだけでなく、アイデアで遊んでいる。そして彼は冗談を言っているわけでもない。彼はSF界の偉大な反逆者である
――ウォール・ストリート・ジャーナル紙
大胆さと独創性のかけがえのない融合。荒々しく未開拓の概念的領域へ踏み込むことを恐れない
――ニューヨーク・タイムズ紙
『未来省』との比較
気候変動をテーマとするSF小説として、『ターミネーション・ショック』とキム・スタンリー・ロビンスンの『未来省』(どちらもパーソナルメディア刊)の二作品を比較している書評や同二作品を考察の材料としている学術論文などもある。このことからも二つの作品がCli-Fi(気候フィクション)を代表する人気作として、海外では広く知られており、高く評価されていることが伺える。
『歴史の終わり』の著者でアメリカの政治学者のフランシス・フクヤマは、自身が主宰するウェブサイトでの書評記事(※1)で『ターミネーション・ショック』と『未来省』を比較している。彼は『ターミネーション・ショック』のことを高く評価する一方で、「フィクション作家としての力量を比べるなら、ロビンスンとスティーヴンスンは比べものにならない」という辛辣な言葉を用いて、『未来省』をあまり評価していない。
しかし、とあるSF小説ファンによる書評(※2)では、フランシス・フクヤマの前述の書評を「表面的な比較」と批判したうえで、『ターミネーション・ショック』と『未来省』を姉妹書のように両方を読むことを勧めている。そして、どちらか一冊だけを選ぶとしたら『未来省』だとも書いており、二つの作品に対して、さまざまな意見があることがわかる。さらには、二作品を対で読むことを勧めている別のSF作家による比較記事(※3)や、二作品を「ほとんど対の小説のよう」と評しているライターによる記事(※4)なども見つかる。
そのほかには、書評ではなく、『ターミネーション・ショック』と『未来省』を比較分析した学術論文(※5)もあるなど、この二つのCli-Fi作品が海外で大きな影響を与えていることがわかる。
(※1)Two Futures, PERSUASION
(※2)TERMINATION SHOCK – Neal Stephenson(2021), Weighing a pig doesn't fatten it.
(※3)Two Sci-Fi Giants Take on Climate Change, nolandric.com
(※4)Neal Stephenson's Termination Shock Is a Glorious Sci-Fi Vision of How To Respond to Global Warming, One Geoengineering Problem at a Time, Reason
(※5)Gritwork: globalised infrastructure and rogue geoengineering in Kim Stanley Robinson's The Ministry for the Future and Neal Stephenson's Termination Shock, Taylor & Francis Online