2011年7月7日

漢字の活字字体の典拠『康煕字典』の初版「内府本」の
iPad用電子書籍を新発売


パーソナルメディア株式会社 (代表取締役:松為彰、本社:東京都品川区、電話:03-5759-8303、資本金1,000万円) は、日本の漢字の活字字体の典拠とされている漢字字典『康煕字典(こうきじてん)』の「内府本(ないふぼん)」を、iPad用の電子書籍として本日2011年7月7日より販売開始いたします。『康煕字典 内府本』(iPad版)の価格は税込4,800円で、App Store にてご購入いただけます。

『康煕字典』は中国で作られた漢字の字書です。中国の「清(しん)」の時代に、四代皇帝康煕帝(1654生~1722没、1661年即位)の命により、張玉書(ちょう ぎょくしょ)、陳廷敬(ちん ていけい)ら30人が約5年を掛けて編纂し、康煕55年(1716年)に完成しました。

この康煕字典の初版は「内府本(ないふぼん)」または「武英殿本(ぶえいでんぼん)」と呼ばれています。「内府本」は日本に数冊しか存在しておらず、文字や古文書の研究者であっても原本を見ることが困難な、非常に貴重な資料です。本製品では東京大学東洋文化研究所所蔵の内府本の一つである『御製康煕字典』を、オリジナルの装丁のままクリアな画像イメージで再現しています。

康煕字典は、明治以来の漢字の活字字体の典拠であるという意味で、国語学的には極めて重要なものとされています。2010年11月30日に内閣告示された新しい常用漢字表の中でも、参考情報として康煕字典体の漢字が掲載されています(*1)。常用漢字表に含まれない漢字も、基本的には康煕字典の字体を拠り所とするように、2000年12月の国語審議会などで答申されています(*2)。また、多くの漢字字典や漢和辞典の部首や配列は、康煕字典の方式に基づいています。

しかし、紙書籍の康煕字典は現在国内の出版社からは販売されておらず、中国関連の専門書店や古書店などでしか入手できない状況でした。そこでパーソナルメディアでは、比較的低価格で手軽にご利用いただける電子書籍版の康煕字典を商品化することにいたしました。2010年12月にはシリーズ第1弾として、江戸時代に日本で翻刻(ほんこく)された『康煕字典 安永本(あんえいぼん)』(*3)の電子書籍版を発売し、ご好評いただいております。

シリーズ第2弾となる『康煕字典 内府本』(iPad版)では、「内府本」の全ページを収録しているほか、「安永本」と同様に「目次・部首一覧」から各巻の該当ページに直接ジャンプするリンク機能を設けています。また、康煕字典の全収録文字をパソコン用の文字(*4)で書き起こした「収録文字一覧」が付属しているので、康煕字典の字形と現在の漢字の字形とを比較して確認できます。さらに「内府本」では、皇帝の名前と同じ漢字を書くのをはばかって字の一部を欠いた文字を用いる「欠画(闕画・けっかく)」(写真2)が見られるなど、「安永本」との差異も確認できます。

当社は、電子書籍による新刊書の出版や既刊書の電子書籍化はもちろん、これまでのソフトウェア開発ノウハウを活かした電子書籍向けの技術開発や、電子書籍のメリットを活かす新しいコンテンツビジネスの構築など、電子書籍に関する製品開発や関連事業を積極的に展開していく予定です。



(*1)
2010年11月30日内閣告示第2号「常用漢字表」
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/kokujikunrei_h221130.html
「常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)」の「表の見方及び使い方」の6に、康煕字典体への言及があります。
(*2)
2000年12月8日国語審議会答申等「表外漢字字体表」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/12/kokugo/toushin/001218.htm
(*3)
「安永本」は江戸時代の日本で翻刻された康煕字典で、初版は中国の康煕字典発刊の64年後、安永9年(1780年)に刊行されました。日本の康熙字典考証の先駆けである都賀庭鐘(つが ていしょう)の「字典琢屑(じてんたくせつ)」の一巻が追加され、全41巻で構成されています。日本人が読みやすいように、親字にカタカナで読み方が補われ、訓点と送り仮名を振った木版を新たに起こしてあるので、専門的な知識が無くても比較的読みやすいのが特長です。
(*4)
Windows等で利用可能な文字コードであるUnicodeでは、康煕字典の多くの文字を表現することができません。そのため、この収録文字リストは、BTRON仕様の多漢字パソコン用OS「超漢字」と、その文字フォント(GT書体フォント)を用いて作成されています。また、収録文字リストのデータ作成には、「超漢字」用のアプリケーションとして販売されている「超漢字康煕字典」を利用しています。なお、『康煕字典 内府本』(iPad版)のご利用にあたって、「超漢字」は必要ありません。

写真

  1. iPad で読む『康煕字典 内府本』
  2. 『康煕字典 内府本』に見られる「玄」の欠画


補足資料

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